初色11 魏孔(私設)

 


4月:風



強烈な既視感に見舞われた。
赤壁にて曹軍と対峙していた最中も、彼はよくこうして長江を眺めていた。平服の時はもちろんのこと、戦装束をまとっていてさえ、美しい景色を眺めているようにしか見えなかった。
淡朱の唇にうすい笑みが浮かんでいるように見えて、なにか面白いものでも見えるのだろうかと横に並んで見てみても、ただの長江の景色があるだけだった。

『なにが見えますか』
と、諸葛亮は聞いてみたことがある。
空に浮かぶ雲の上で天女が舞っているのだ、とか、水に浮かんだ船の上にて長江に住む仙女たちがおもしろい音楽を奏でている、というような答えをするのではないかという雰囲気が、周瑜にはあった。
『貴方と同じものが見えている――が、何が見えていると思ったのだ』
『ああ、それは』
諸葛亮が羽の扇をひるがえしながら、雲の上の天女と、船の上の仙女のことを話すと、周瑜の表情は動いた。
『川に住む神女の楽か。聞いてみたいものだ、どのような楽か』
舞ではなくて楽のほうに反応するのだな、噂通り音曲がお好きか、と諸葛亮は思いながら、はたはたと羽扇を揺らした。
『想像するに、江の悠久の流れのように朗々としてゆるやかで、時に風雨の激しさもあり、というような曲なのでは?』
『奏でてみてくれないか』
『は?』
『奏してみよ』
『わたし、が?』
『うむ。聞いてみたい、是非』
楽は嗜む程度でとか固辞したのだが、押し切られて、作曲することになった。といってもどうせ素人芸、てきとうに水の流れっぽくそれらしく流して、と思ったのに。
『その曲のどこをどうとったら滔々と流れる悠久の大河だというのだろうか。諸葛亮殿、それでは小さなせせらぎ程度だ』
周瑜の容赦のないダメ出しに諸葛亮の中で何かが切れ、そして燃えあがった。
『都督。これは春の雪解け水の流れを表わしておりまして、若草の合間を流れる可憐なせせらぎが集まって大河に注ぐのですよ、本番はこれからです』
周瑜はすこし目を見開き、ひそやかに喉をふるわせて笑った。
『それは楽しみだ』
春から夏、そして秋、冬と移り変わる大曲が完成するのに十数日間を要し、諸葛亮は周瑜の居室で爆睡しては、彼に揺さぶり起こされてまた琴を弾かされた。
曲が完成するころには、諸葛亮が周都督をたぶらかしている、周瑜と関係を結んで劉軍の有利に運ぼうとしている、都督が劉軍の軍師に執心して私室に留め置いている、とさまざまな下世話な噂が流れていた。


周瑜の居室はおもしろかった。書物は幾らでもあったし、書物の趣味も良いものだった。鮮やかな花鳥の敷物が敷いてあり、見たことがない器物、珍しい楽器がいくつもあった。
それに、室のつくりも調度もちょっとした置き物も、典雅とでもいうべきか流麗とでもいうべきか、どこに目をやっても美しかった。
そしてその中でもっとも美しいのが、彼自身だった。


周瑜と、そういう関係になりそうになったことがあった。
名すら知らない楽器の数々を眺めていた。
どういう音がするのか、どう鳴らすのか。
『弾いてみるとよい』
『都督の大事な収集品なのでは?』
『楽器は、奏でるためにある』
手に取ったのはずんぐりとした胴を持つ弦楽器で、ゆでた卵を半分に割ったような形をしていた。弦を弾けば音が鳴るのだが、ぽよん、ぼよん、とひどく間抜けな音が出るのだ。
『間抜けな音を愉しむ楽器なのでしょうか・・・』
染料で草花の模様が描いてあって、愛らしい見かけをしていた。これはこれで、心が和む。しばらく、ぽよん、ぼよん、と音を鳴らして楽しみ、簡単な曲をつくって、気ままに弾いた。

『太鼓と合わせれば、よりのどかな音曲になるかもしれません、都督』
『それは、弦を、ゆるめてあるのだ』
しばらく真顔でまじまじと諸葛亮の様子を見ていた周瑜が、おかしそうに言うので諸葛亮はおののいた。
『あ、ああ、そうですか・・』
正直、早く言えよ、とおもった。

指で弦を弾くのではなく、専用の撥を使うのらしい。
弦を締めて調律した周瑜が、見慣れぬ細い撥を弦に宛てると、諸葛亮が戯れに奏していた間抜けな音とはうってかわって、澄んだ軽妙な音が響いた。
一音だけ鳴らしたあとで、差し出されて、戸惑った。
あまりに優婉な眼差しであったゆえに、もう結構ですとは言えずに、受け取った。
弦の音律と鳴らし方を考えていると、楽器を渡したままの位置に周瑜が留まっている。つまりは、近すぎる距離に。
細い撥をもつ諸葛亮の指先に周瑜は手を回してきた。
楽器の弾き方を指南する、そういう意図よりも遥かに大きく、その仕草は性的な雰囲気を含んでいた。

あたりまえのように引き寄せられて、唇がふれそうになって、諸葛亮は言った。
『できれば、したくはないのですが。逃げることは、可能でしょうか』
周瑜は吐息だけで笑った。
美周郎の呼び名に恥じず、すばらしく優婉な容貌をしている彼が微笑すると、百花が花開いたようにあたりが華やいだ。
逃がしてやるとでも思うのかというように腕に力がこもったので、諸葛亮は眉を寄せた。

『都督は、珍しい楽器を鳴らしてみたいというだけなのでしょう?』
気に入られているというのは、分かっていた。
それを利用していたことも否めない。
周瑜がどうしても行為を望むのならば、逃げ切れないだろう。どのみち、揚州軍の陣地のただ中なのだ。主導権は完全に周瑜のほうにあった。
『楽器ならば、都督のお気が向かれた時につま弾かれるのを、じっと待っていることもできましょうが。わたしは、いやです。周瑜殿、あなたとそういうことをしたら、あなたを好きになってしまうでしょうし』

確実にそうなるという予感があった。
これほど知勇そろった名将であり、名家の出の有名な美男でありながら、艶福家だという噂は聞かないのだから、周瑜から閨の誘いをされる人間はごくわずかなのに違いない。
光栄なことなのだろう、とおもうし、そもそもこの男と出会えて、わずかなりとも友誼を結べた自体が幸運だ。
だけど、一度か数度、鳴らされて別れる楽器になるのは、嫌だった。

『楽器・・そうでは、ない。諸葛亮殿。たまに、かき鳴らしたいというようなものではない。貴方が、欲しいのだ』

諸葛亮は息を呑み、細く吐き出した。
周瑜のことは、好きだった。多大な好意をいだいていた。
このように知性と武勇が完璧にちかい形でそなわった人はおるまいし、彼の思考は実戦的で、政治にも秀でている。
そして、彼の戦略は諸葛亮と似ていて、そして全く似ていなかった。


『あなたがすでに主君を決めておられますように、わたしもまた、劉備様を唯一の主君と決めております。だから』

だから。
その先は、言わなかった。
好いている。これまで他者に感じたことがない好意を感じていた。
だが、共に生きることはできなかった。







露台には風が吹いていた。東からの風はあたたかく、春の到来を告げていた。眺める景色のあちらこちらが桃色に染まっている。野生の、あるいは里人が植えた桜や桃が花開き、野草も芽吹いて風に揺れていた。
「周瑜殿。お久しぶりです」
「諸葛亮殿」
形通りに拱手をする。周瑜も返礼した。
ある程度予想はしていたが、痩せていた。長患いをしているとの噂、そして夷陵、江陵を争奪する戦で矢傷を負ったと聞く。
甘い思いと同時に苦い思い、哀しさ、切なさ・・さまざまな感情がこみ上げる。

会見の目的は、分かっていた。
別れ、である。

「貴方は、おそろしいほど何でも分かっている人だった、諸葛亮殿。このたびも、なぜ呼ばれたのか、分かっているのだろう」
「はい、都督」
諸葛亮は微笑し、周瑜も、すこし笑った。かつては百花がいちどの花開いたようであった甘くあでやかな微笑は、ひそやかな一輪の花のような静謐なものに変わっていた。それでいてかつてと変わらずに優婉であり美しい。

「周瑜殿。僭越ではありますが、あの戦の最中に、わたしたちは友であったとおもっております。都督は、情の厚いお方で、友を裏切ることはなさらない。今日は、わたしとの友誼の縁を切るために、お呼び出しになったのでしょう」

あの赤壁の戦の最中に、周瑜が劉備を友と思っていたことがあったかどうか、分からない。
だが確かに、諸葛亮は彼の友だったのだろうとおもう。
友と呼ぶにはいますこし甘く、あやうい関係であったが、それでも友だった。

周瑜は、益州を攻めるつもりであるに違いない。江東孫家に天下をとらせる布石として。
劉備に天下を取らせる布石として益州の領有をもくろむ諸葛亮と、まったく同じように。

同じ道を目指しながら、相容れない。
同じ戦略を持ちながら、共には行かれない、共に生きられない。
ここで、別れだ。

「琴を、用意してあるのだ。奏してくれぬか」
「はい。よろしければ、都督も。合奏いたしませんか?」
「よいが、少しだけだぞ。あまり、身体がよくないのだ」
「ご無理は、なさいませんように」

どちらとも何も言うことなく奏し始めたのは、あの懐かしい曲だった。
春になり、雪解け水の流れが、若草の合間を流れる可憐なせせらぎが、集まって大河に注ぐ。そして夏になり、・・・・
周瑜は多くを語るということをしない。
孫策が多弁だったので、口をはさむ暇がなくて、こうなったのかもしれぬ、と言っていたことがある。
そのかわり、彼の奏する楽は、さまざまなことを語った。
途中から周瑜は弾くのをやめた。言っていた通り、身体が持たないのだ。
それでも彼は無様に体勢を崩すことは無く、うつくしい姿勢で座り、目を閉じていた。
長い大曲を弾き終えた諸葛亮は余韻が消えぬうちに立ち上がった。
無言のままに礼を取り、背を向ける。
数歩も行かぬうちに、背後に気配が迫った。

「・・・あれから何度も、悔いた。あのとき、貴方を我がものにしておけばよかったと。どうして逃がしてやったのか―――私のものにして、劉備のもとに帰さなければよかった」
背後からされた抱擁と耳元でささやかれる声に諸葛亮はいっとき震え、息を吸い込んだが、別の方向に向けて声を上げた。
「魏延、抜くな・・!」
抜くなと命じたのに、護衛は大刀を抜き放った。

会見の初めから殺気はあったが、曲の途中から段々と猛々しい殺意が大きくなり始めて、胸が騒いでいた。まるで存在を主張するように、諸葛亮に対する非難と、周瑜に対する殺意が増していた。
抜き放たれた大刀の厚く野蛮な刃と同様に、炯々と目を底光りさせた魏延が周瑜の喉元に刃を突きつけ、周瑜はその優美な眸をめぐらせて魏延を見た。
諸葛亮を腕におさめたままつぶやく。
「見ぬ顔だな。趙雲殿は、どうした。趣味が、変わったのか?諸葛亮」
「いえ、あの、わたしの趣味で護衛を選んでいるわけでは」
言いながら顔が赤くなって、趙雲殿は桂陽です、と付け加える。

「軍師を離せ、周都督」
歯を剥き出しにする獣のような荒々しい威嚇を受けて、周瑜は鼻を鳴らした。
その様が、ふてぶてしく鼻を鳴らして冷笑する魏延の癖とたいそう似通っていて、微妙な心地になる。対極にあるような者同士であって、冷笑するときの癖に共通点があるとは思ってもみなかった。
「離せ、と言われると、離したくはなくなるが――」
ふと周瑜は言葉を途切れさせ、むせるような咳をしはじめた。
ここぞとばかりにむんずと肩を掴まれ、離されて自由になった諸葛亮は護衛のほうへと引っ張られる。
手巾を取り出した周瑜が口を押さえており、雅であるのに病的である仕草が胸に迫った。

「・・これにて、おいとまをいたします、都督」
次に会う時は敵であるだろう、という覚悟はとうにしていた。
それなのに、二度と会うことは無いだろうという予感が喉元までこみあげて、目が潤んだ諸葛亮は深く礼を取って、そしてきびすを返した。
刀を鞘におさめた魏延も、まるで因縁をつける破落戸(ごろつき)であるように獰猛に周瑜を睨みつけたあとで付いてくる。



兄と短い礼を交わして黄忠隊と合流し、来た時とおなじ道筋を戻る。
ずっと護衛が諸葛亮の身のどこかを掴んでいた。肩や二の腕、あるいは手首を。逃がさないとでもいうように、力任せに。
船に乗り込んでからもそれは続いて、黄忠は魏延の無礼さに呆れかえっていたが、諸葛亮は掴まれていることで落ち着くことができていた。きちんと繋ぎ止められていて、不安定に揺れる船上であっても地に足がついているような心地がした。

「軍師殿、・・・小型の軍船が、追ってきておるようじゃ」
黄忠がつぶやき、船上に警戒感がただよう。追っ手というには小さすぎる船は明らかにこの船を追っていた。船足が速く、巧みな操船からみて揚州軍の哨戒船だろうが、目的が分からない。周瑜か兄からなにか伝言か、渡す物でもあるのだろうか。
舳先に赤い影がちらついたように見えたが、南からの強い陽光にさえぎられて目を細めたところに、ダン、とすぐ横で音がした。

帆柱に突き立った矢に、護衛隊がいっせいに緊張して一斉に盾を構え、しわがれてはいるが張りのある黄忠の声が飛ぶ。
「弓隊は抗戦の用意!魏延、早う、軍師殿を船室にお連れせぬか」
「交戦はお待ちください、黄忠殿」
あっという間に小型船が近付き、いまや舳先にたつ人物の様相が春の真昼の光にはっきりと浮かんだ。
紅い衣をきた細身の青年が弓を構えている。
「あれは、」
凌統とかいったか。まだ二十歳になるかならないかという年若さでありながら、父の軍功と彼自身の軍才を認められて揚州軍に参陣しており、赤壁にも参戦していた。
周瑜が、その才と気性を愛でて近頃そばに置いていると、聞いているが。
矢を射かけてくるとは短慮である。揚州と劉軍はまだ同盟中である。周瑜の命とも思えない。

「諸葛亮、出てこい!」
呼ばわる声があまりにも若くて、諸葛亮は、憤怒の形相で仁王立ちになった護衛の脇からするりと抜け出し、顔を出した。
諸葛亮の姿を認めた青年が、わめいた。
「おまえ、なにかおかしな方術をつかって都督に呪いをしたのだろう!今すぐ解け、解かないと許さないからな!その船、沈めるぞ・・!」
紅衣をまとって舳先に立つ姿は堂に行っており、弓を構える様も勇ましい。だが言いざまは支離滅裂で、完全に言いがかりだ。

諸葛亮が方術使いであると、赤壁の戦の後から世間でささやかれている。
常は北向きである風を変えるために、あやしげな祭壇をしつらえて儀式を行い、ついには東南の風を吹かしたのだと、まことしやかに噂されている。
諸葛亮は公的な場で着ることのある黒地の道袍は、ほんらい道士が着用するもので、道士は呪的な方術を修め、風を起こし雨を降らせるなど天候を支配するとされるゆえだ。
また道士は呪術や医術により人の生死を操る存在だとも伝承される。

周瑜の病が長く治らず、矢傷のために悪化したことが、諸葛亮のしわざであると青年は考えたのだろうが――

やるせなく、切なくて、諸葛亮は拳をにぎりしめた。
若者の言いがかりに味方の二将は激高し、諸葛亮を押しのけるように前に出た。
「こわっぱ、この無礼者めが!妄言を申すな!」
「そうだぞ!軍師は方術なんぞ使えぬ!!」
黄忠が叫べば、負けじと魏延も怒鳴った。
「この軍師は、医術には通じておるが、薬草をあつめ書物をあさり試みをくりかえして工夫を重ね、ようやっと兵を癒す薬ができたと喜んでおる小者だぞ。小心で臆病であられるゆえ、方術で人を呪い殺すなんぞできるわけなかろうが!!」

褒められたのか、けなされたのか。
だがしかし説得力のあるのも確かだった。
諸葛亮は方術は使えないし、風を起こすこともできないし天候も操れない。人を呪い殺すこともできない。
書物を読みあさって推測を立て、実験と観察を繰り返す。あるところは豪胆でもあるが、本質的には小心で臆病なのであるかもしれない。
ことに、人との関りにおいては。
人を使うことに怯え、人が死ぬことにも怯える。人を失うことがこわい。
人としては当然のことかもしれないが、軍師としては欠点であるのだろう。

「凌統殿。わたしは、周都督を呪っておりません。束の間ではありましたが、あの戦の折り、わたしたちは確かに友だった」
あのように知勇そろったすぐれた人が弱り、死の影がちらついているのだ。
束の間の仲であった諸葛亮さえこれほど心が痛むのだから、傍にいる者にとっては耐えがたい苦痛であろう。

風が強く、まとめていた結いが乱れる。突風に小さな冠が取られてしまい、風にあおられた髪がたなびいた。
江を渡る春の風の中で、諸葛亮の瞳から涙がこぼれた。こらえていたのに。
「・・・・っ!」
凌統の目からも涙が噴き出した。彼もまたこらえていたのに違いなく、顔をくしゃくしゃにゆがめて泣き出した。

「じじい、今だ」
「分かっておるわい」
素早く構えた黄忠の放った矢がひゅうと風を切って飛び、あちらの軍船の帆を留める縄を断ち切り、小型船はたちまち風にあおられた。
隙を逃さずに、船足を速めて遠ざかる。見る間に船影は離れていき、弓を持ったままで泣き崩れる紅い影もまた遠ざかった。

護衛によって引きずられるように船室へと戻される。陽光がさえぎられて、涙によって視界が霞んで、ついには何も見えなくなった。
「・・・・いずれは敵になる人だと、分かっていた。でも・・わたしは、・・・都督を呪って・・など・・・死を、望んだことなんて・・・」
口に出したことでより胸に迫った。
・・・あの人は死んでしまうのだ。
もう二度と会うことはない・・・あのような人には、二度と会えない。
涙は止まるどころか次から次へと湧いて出てくる。
ぼろぼろと泣いていると獣の唸り声のようなものが聞こえて、肩に両手が置かれた。
「・・・お泣きになるな」
顔を上げると、がしりと力任せに両肩を掴まれる。
痛い、という声は出なかった。
「泣かれるな・・!他の男を想うて、―――」
また獣の唸り声が聞こえたあとで、口を塞がれた。口と口とが、むに、と合わさって、驚きのあまり息を止まった。
それはほんの束の間のことで、離されて、もう一度もうすこしだけ長く重なったあとで、力ずくで抱擁された。
むきむきと盛り上がった背の筋肉を覆う、諸葛亮が選んでやり着せてやった淡黄の衣が眼下にあった。

 






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(2023/4/9)

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